2012.11.08
DPCデータを病院の質測定や経営データに活用しよう!
Dr.採用なび実行委員会
「診療実績に基づく競争をするためには、実績を評価して広く公表することが必要になる。(中略)うまく機能している市場では、情報が競争の本質になる。しかし、医療では価値を向上させる競争を支えるのに必要となる情報がほとんどないか、隠されている。 (中略)殆どの医師は自分の実績が平均的なのか、平均以上なのか、以下なのか知るための客観的証拠を持っていない。自分が平均以下であるという情報があれば、学び、改善しようとするインセンティブがわく。」 |
「医療戦略の本質―価値を向上させる競争」マイケル・E. ポーター (著) |
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┏━┓ ┃[1] DPCとは ┗━━━━━━━───────────────── DPC(Diagnosis Procedure Combination:(診断群分類包括評価制度)については、皆様当然ご存じだと思いますが、医療費の包括請求の制度で特定機能病院82病院にいわば一日当たり疾患別定額払いという、世界でも珍しい支払い方式が導入されたのは記憶に新しいと思います。 「Diagnosis Procedure Combination:DPC」の頭文字、つまりDiagnosis(診断)とProcedure(治療・処置)のCombination(組み合わせ)の略称です。DPCは、この「病名(診断)」と「提供されたサービス(治療・処置)」の「組み合わせ」によって、さまざまな状態の患者を分類するツール(方法)となります。 「DPC」という呼称については、①診断群分類に基づく1日当たり定額報酬算定制度を意味する場合と、②患者分類としての診断群分類を意味する場合とが混在しますが、本来DPC(Diagnosis Procedure Combination)は②の意味で作られた略称であり、支払制度の意味は含まれません。このため、支払制度としてのDPC制度の略称については、DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination /Per-Diem Payment System)とすることで平成22年12月16日のDPC評価分科会において整理されました。 ※中医協(平成23年1月21日・総-3-1 抜粋) |
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┏━┓ ┃[2] 拡大するDPC病院 ┗━━━━━━━───────────────── DPC(Diagnosis Procedure Combination:(診断群分類包括評価制度)については、皆様当然ご存じだと思いますが、医療費の包括請求の制度で特定機能病院(※1)84病院にいわば一日当たり疾患別定額払いという、世界でも珍しい支払い方式が導入されたのは記憶に新しいと思います。 制度導入後、DPC/PDPSの対象病院は段階的に拡大され、平成24年4月1日見込みでDPC対象病院は1,505病院・約48万床となり、全一般病床の約53.1%を占めるに至っており、またもう1つのDPC準備病院は248病院・34,502床であり大変な勢いで増えており、予想以上にDPCが拡大しています。 ※1【特定機能病院】 医療機関の役割分担を進める一環として1992年の医療法改正で設けられました。 指定要件は ▽ベッドが400床以上 ▽医師の配置が一般病院の最低基準の2倍以上 ▽診療科目が10以上 ▽先進医療を1種類以上行う など多数あります。84か所中80か所が大学病院。 ┏━┓ ┃[3] DPC包括範囲 ┗━━━━━━━───────────────── DPCの包括範囲は出来高との混合です。診療科によっても大きく違いますが、出来高は手術や高額な処置などで30%、包括払いは入院基本料、検査、画像診断、投薬、注射、処置などで70%です。この包括払いの部分は約2,241種類の疾患群に分けられて、そこに一定額の料金がつきます。この包括払いではどんなに医薬品や検査をしても一定額の支払いなので、出来高と比べると環境が大きく違っています。 ┏━┓ ┃[4] DPC関連病院とDPC準備病院の役割 ┗━━━━━━━───────────────── DPC対象病院の1,505病院はDPCの算定を行なっている病院で、2003年から特定機能病院をはじめとして広がりました。もう1つのDPC準備病院は248病院は、DPCの算定を行なっていませんが、調査に協力している病院です。特に今年度は大変な勢いで増え、2つを合わせて1,753病院となっています。 ※平成24年度DPC対象病院の基準 ① 一般病棟入院基本料等の7対1又は10対1入院基本料に係る届出 ② 診療録管理体制加算に係る届出 ③ 標準レセプト電算処理マスターに対応したデータの提出を含め厚生労働省が毎年実施する「DPC導入の影響評価に係る調査(特別調査を含む。)」に適切に参加 ④ 上記③の調査において、適切なデータを提出し、調査期間1か月当たりの (データ/病床)比が0.875以上 ※ DPC制度への参加を希望する病院は、DPC制度参加の届出を行う時点において、上記の基準をすべて満たしていなければなりません。 ※対象患者 ① 一般病棟の入院患者 (療養病棟、精神病棟等の入院患者は対象外) ② 包括評価の対象となった「診断群分類」に該当した者 ③ ただし、以下の者を除く ・入院後24時間以内に死亡した患者、生後7日以内の新生児の死亡 ・臓器移植患者の一部同種心移植、生体部分肝移植、造血幹細胞移植 ・評価療養を受ける患者 ・一部の特定入院料等の算定対象患者 回復期リハビリテーション病棟入院料、亜急性期入院医療管理料、緩和ケア病棟入院料 等・その他厚生労働大臣が定める者(今回改定で新たに保険収載された手術等を実施する患者、高額薬剤を使用した患者等) ![]() |
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各病院が積極的に情報公開をはかることにより、「良質な医療を公平かつ効率的に提供する」という、医療における「質」「効率」「公正」の適切なバランスを達成させ医師が自らの適正な役割を果たすことを願います。 次回は「DPCデータの経営データ活用術」です。 |